Raindrops(ちぎるひと)
恋月 ぴの

「愛してる」

簡単じゃないはずなのに
誰もが街なかでささやきあっている

君だけを
このひろい世界を




勘違いしてしまうのかな

束縛されたく無いはずなのに
相手の関心を引こうと

みずからの心を生贄と差し出す

それが愛の本質でもあるかのように




口当たりのよいことば
ひとを惹きつける優しいことば

愛しているよとささやくことは容易いけれど

とことん信じあうには
ことばのちからだけじゃ物足りなくて




はや梅雨の前ぶれなのか
降りはじめた雨に其々の傘を差す

離してしまった手と手の距離ほどには
ふたりの心は離れていないと

肩に乗せた傘を回しながら普段どおりの笑顔で返す







自由詩 Raindrops(ちぎるひと) Copyright 恋月 ぴの 2012-04-30 18:51:08縦
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