『真世界より』
itukamitaniji

『真世界より』

小さな舞台の端っこから 逆さまに落っこちて
縺れた糸を断ち切って 旅に出た操り人形
そして知ったのさ 自分が暮らしていた世界は
とてつもなく大きな世界の 一部に過ぎなかったって

何処まで行っても端が無い それが本当の世界だった
迷子と引き換えにして 自由を手に入れた

捨てられたんじゃない 自分から捨てたんだ
手の平で踊らされるのは 同じだって誰かが笑っても


手を伸ばしても触れられない 何にもない空間に
生身のまま 放り出された宇宙飛行士みたいに
上も下も分からない 足場も無くなって
星空を見下ろして 大地を見上げて漂っていた

時々懐かしく思った 小さな舞台の上での日々を
僕にちゃんと配役があって 必要とされたことを

見上げた空が 潰そうとのしかかってくる
小さな瞳に映るのは 大きすぎる世界だった
取って付けたみたいな 似合わない理由をぶらさけて
転ばぬように 理想とバランスを取って歩いた


知ってしまったのは 孤独や悲しみだけじゃない
見逃していた あるいは見ようとしなかった
大切なものが この世界にはたくさんあるってこと
誰も期待をしていない 遅すぎた旅立ちを始めよう


自由詩 『真世界より』 Copyright itukamitaniji 2012-04-27 01:31:01
notebook Home 戻る  過去 未来