ライラック・イーターと数え切れない数の鳥たち
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丘の上で
誰かがずっと待っている

青ざめたハイエナの孤独と
袋に詰められた真実が
擦り切れた陽射しに照らされて
まどろみながらたたずんでいる

夏のように暑く
声のように響く
そんな日々の中では
鳥たちのうたごえだけが途切れずにいる


「出来ることはまるで
出来ないことと同じさ」
あの時 君はそう言ったんだ

なんて事だろう
ドアは開けるものではなく
誰かにとっては閉じる為のもの

あの月の裏側には
ライラック・イーターが棲んでいて
リラの花を全部喰べてしまう
そんなのは絵空事だと思っていたんだ

チェリーパイみたいに
この人生が複雑なんだとしたら
僕にはこの通りをただ
歩き回るくらいしか出来はしない

靴の中で泣いている雛から
どうしても目が離せないまま
裸足でとまどう時計たちのように


踊り場では鳥たちが
陽射しを浴びながら
丘の方を眺めてる

暗がりに消えゆくように
世界はゆっくりとその目を閉じていく


生きるって ねえ
何て事はないはずなんだよ


自由詩 ライラック・イーターと数え切れない数の鳥たち Copyright в+в 2012-04-19 20:52:08
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