杜の都の桜の候
朝焼彩茜色

桜の最前列は

そろそろ 奥の細道へと趣く

 遊牧民族のカルマを受け継いだ 彼女は

 初めての転校生は 杜の都だった

縦長の豊かな6県は

そろそろ 桜の最前列に手招きする

 こっちの水は甘いよ
 こっちの人は優しいよ と囁く

独眼 鋭い三日月を かぶとに捧げる

あの男が 本当なら ここに城を建てるつもりだった


つつじが丘


 遊牧民族のカルマを受け継いだ 彼女は

 何も知らず ここで花見をした

 太っている鳩が近寄って来る

 言葉は ホーホーとしか知れず 受け継いだものも知れず

幼き時代を 春の夕暮れに 桜を捧げた 

 遊牧民族のカルマを受け継いだ 彼女の

 次の自転まで

 杜の都を彼女の永遠の都に したっかた


きぼうが丘


さよならを せざるをえない運命に
 初めて 心がちぎれた

伊達に少女ではない 遅咲きの桜に

もう喋れない 愛嬌訛りは  今も

 聴くことは できるよ


 こっちさ おいで
 こっちさ おいで


自由詩 杜の都の桜の候 Copyright 朝焼彩茜色 2012-04-18 16:14:55
notebook Home 戻る  過去 未来