おおぐま座
風呂奴

(飲み過ぎたコーヒーが尿意に書き換えられて
駆け込むトイレには神話と宇宙を持ち込んだ
窓の奥は 依然として空と山の色が目立っていて
近隣の川だけが 整頓された物音を流しつづけ
その規則正しい行進のなかで コーヒーは体を巡り抜けた)


「おおぐま座」

1200万光年先で
葉巻をくわえる そらがありまして
盛んに光りながら 壮大な一服を決めこんでいます

同じ一服と命名された活動でも
私の指先で燃える 1箱440円とは
星と灰の差であるからして 誰も振り向いてなどくれません
誰も振り向むいてくれないことを いつか読ませる仕事が
詩であって 活字産業だと妄信しておる次第です

話は逸れてゆきますね ひと昔もふた昔もまえ
銀河を発った 流れ者の星のように

形成する星座もない 自由主義者が
昼間から星空を読んでいます
星座もまた星たちの協同でしょうか

ただ 不思議なのは 現実です
それは おおぐま座を見上げたことがないということです
私が星座を知っている時
私が見ているのは 空ではなくいつも手元ばかりなのです
銀河はページのなかで 輝いたふりをして
ページをめくる行為が 1200万光年を
いとも簡単に省略してしまうのです



自由詩 おおぐま座 Copyright 風呂奴 2012-04-17 10:21:42
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