貴蝶(きちょう)
朝焼彩茜色

貴蝶。あたしを、肌色の二足歩行なんて呼ばないで

貴蝶。大胡麻斑蝶は、黄金の蝶よね。貴蝶

貴蝶。浅葱斑蝶は、空と海を担う蝶よね。貴蝶

貴蝶。高貴な羽根の粉は、ティンカーベルからの贈りものなの?

貴蝶。だから、ゆるやかに舞い流れてゆくの?貴蝶の夏だけの人生のように

貴蝶。お願いだから、道路は渡らないで

貴蝶。紅の華の中をマンタのように潜りぬける
   美しい夕日に映える、その姿
   肌色の二足歩行より、存在感が目立つ

貴蝶。うっとりする、艶が弾き溢れる
   瞳に入れたいくらい
   
   あたしの瞬きと、はためかせる羽根の音だけリンクする

貴蝶。それだけでも嬉しくて、涙が、肌色の二足歩行の心に、にじんでゆくわ
   
   空と海を担う黄金の一滴

貴蝶。お願いだから、小学生の網には気をつけて

貴蝶。美しい生きもの、愛してるわ

貴蝶。いつか、肌色の二足歩行を乗せて
   飛び廻って
   連れていって
   美しい世界へ

貴蝶。あたしは、ただの揚羽蝶なんて呼ばないわ

貴蝶。だから、肌色の二足歩行なんて呼ばないで

貴蝶。美しい感動を、この夏もありがとう
   いつか、あたしを乗せて
   飛び廻って
   連れていって
   まだまだ、美しい景色の心が溢れている

   この世界を


自由詩 貴蝶(きちょう) Copyright 朝焼彩茜色 2012-04-15 19:01:56
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