ユメミルサカナ
itukamitaniji

ユメミルサカナ

僕はとてもとても大きな 水槽の下の方
澱んだ水の中で こっそりと暮らしている
もう誰も見なくなった 暗闇に紛れて
夢を見ていた まぶたは開けたままで

どこでだって のうのうと生きてゆける
その上いつだって 素敵な夢を見ながらね


見つめ続けて 次第に目が慣れていった
暗闇だって 思ったより明るいんだって気付いた
もっと深く 針の穴の光も届かない場所へって
そう潜り続けたら とうとう底にたどり着いた

終わりがあったなんて そんな微かな希望さえ
知ってしまったら 抜け出したいと思うようになった

いつの日かまた 空を飛ぶのさ
そんなこと ずっと夢物語としか思わなかった
今は本当に そうしたいんだと
こんな僕だって 心の底から願っている


あぶくひとつ吐き出して 頭上を見上げていた

いつの日かまた 空を飛ぶのさ
そんなこと ずっと夢物語としか思わなかった
一番深い所まで たどり着いた
こんな僕だからこそ 心の底から願えるから


自由詩 ユメミルサカナ Copyright itukamitaniji 2012-04-01 02:35:00
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