Fish & Chips(時代少年)
恋月 ぴの

こと切れる最期の瞬間まで
彼はひとりの少年だった

とっつきにくさは彼の持ち味だったし
時代を憂いても
希望を捨て去ることはなかった




そんな彼との接点
あったのかな
と思うぐらいに希薄なのは確かなことで

例えばテロリストの肖像画を自室の壁に飾ったのは
あくまでもインテリアのひとつだったし

それをネタに友人たちを自室に招いたりはしなかった

そんなんだから
彼が何者なのか
彼が何を語っているのかなんて自分には興味なかった




あれは熱病だったのか
それともある種の方便だったのか

右手に鉾
そして左手には盾

語れる者だけが偉いとみせかけ
オリベッティの赤いタイプライターで打ち出したのは

永遠と見紛うryryryの羅列と
打ち損ねたままで放置された彼の名前




「そんなバナナ」

彼の悲報を知って女はそう叫んだとか
叫ばなかったとか

そして玉座に座ろうとするもの後を絶たず

ポピュリズムに必要不可欠なのは
判りやすい正義と
叩きやすい敵の存在で

ああ、掲げた旗のした
バナナ色したスカーフを首に巻く






自由詩 Fish & Chips(時代少年) Copyright 恋月 ぴの 2012-03-26 19:09:33
notebook Home 戻る