ポストマン
itukamitaniji

ポストマン

君はとてもとても 歩くのが早かったので
僕はいつまでも 追いつけずにいたんだよ
大事なものを見落としてまで 先々進んでって
前に進めって 誰かに脅迫されてるみたいに

その無謀さや無能さに いつか気付く日がやってきて
大事にしてた地図にも もうヒントは無くなって
初めて気付いた たどる道がなくなったことに
でも立ち止まったからこそ 僕はやっと君に追いついた

長く長く旅をして 随分と時間がかかったけど
ようやく君の心に この手紙を届けることができた


それは過去からの手紙 まだ幼い頃の君が
ぎこちないけれど 懸命に書き連ねた文字
下手くそな絵は きっと夢についての絵だろうね
もう色褪せて 分からなくなってしまってるけど

雨や雪や強い風の日を 君が歩いてきたのと
おんなじように この手紙も旅してきたんだよ


思い出して 思い出してよ
君がどんな風な 大人になりたがっていたかを
思い出して 思い出してよ
君がどんな風な 未来を想像していたのかを

長く長く旅をして 随分と時間がかかったけど
ようやく君の心に この手紙を届けることができた
そして君はまた ずっと遠く遠く未来を旅している
君自身に手紙を 届けるために歩きはじめるのさ

そうやって心は
そうやって思い出は
ずっと繋がってゆくんだよ


自由詩 ポストマン Copyright itukamitaniji 2012-03-17 01:53:51
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