積むひと
恋月 ぴの

あなたは積み上げる

与えられた積木を丹念に積み上げる

それが人生




親指と人差し指で作った輪の大きさぐらいな積木
いつも何かに苛立っていて

終りの無い議論を隣の積木に吹っかけてみたり
時には手を出して大騒ぎになる

それはあなた

わたしにだけ優しいつもりなのか
夜空に届けとばかりに息を切らせては

お腹の奥に愛の記憶を象った




やがてわたしは身ごもる
満月みたくに膨らんだ臨月間近なお腹

片時も忘れて欲しくないのか
それとも自らの存在を誇示したいのかお腹のなかで暴れてる

あなたと
わたしの

ふたりの子供




せっかく積み上げた積木を崩される

それも人生

生きている限り諦めることなど許されないから

どんなに愚痴をこぼそうとも
再びと積み上げる

積み上げた積木の頂点には古びた三角錐を乗せて

ぐらっと傾いた
その刹那

あわてて押さえた積木の揺れは
生きてる証であるのだから

何かを握って離さない幼い掌の力強さに気づかされる





自由詩 積むひと Copyright 恋月 ぴの 2012-03-12 19:04:15縦
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