チンパンジー
itukamitaniji

チンパンジー

街が動き出す 今日もそれぞれに配役を与えて
そんな朝を もう何度も繰り返してきたんだ

「シーン20120310、よーい、スタート」
誰かの声が響いている それぞれの頭の中で
天から命が下る いや天からという概念は
人が作り出した妄想だ 本当は地からかもしれない

命を与えられなかった者 あっちで一人こっちで一人
そういうのを 一体何と呼ぶんだろうか

僕は人間だ 機械でもなければ植物でもない
ずっとそう言われて これまで生きてきたし
これからも ずっとそういうことなんだと思う
檻の中に居る チンパンジーが笑っている

たった2%の違いが 僕たちと君たちを隔てる
僕たちには それぞれに様々な配役がある
それは医者だったり 教師だったり兵士だったり
だけど君たちには チンパンジーというただ一つ

見える物には配役を与えて 意味を与えて
僕たちはひとりぼっちを 作らないことに夢中だ


街が動き出す 今日もそれぞれに配役を与えて
そんな朝を もう何度も繰り返してきたんだ


自由詩 チンパンジー Copyright itukamitaniji 2012-03-10 13:17:02
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