ゆうべに釈放されて自由を想う
梅昆布茶

かつて収監されていた何故

どの小鳥の羽根をもぎとった罪なのか

それとも母を殺し身内の愛を根こそぎに

うりとばしてしまった哀しみのせいなのか


外への出口は自働ドアだ

ドームの外へ踏み出すとそこは沙漠

銀色の細い月が夕闇にかかっていたさ

無数の生きものが

その息遣いを夜に満たすのさ

そして眠りにつくまえの祈りをそれぞれにくりかえしてゆく


ここがこの星系の何番目の惑星なのか

或いは衛星でもあるのか


僕はなんのためにこの夕暮れの中に釈放されて

どういう自由に

あるいは新たな呪縛に愛されてゆくのだろうか

また償うべき罪を重ねてゆくのだろうか


監視カメラのない自由のように

いまは夜にまぎれてやすみたいのだね

君を迎えにゆく頃には

僕は小さな沙漠のトカゲになっていると思うのだね

冷たい石のトカゲにね







自由詩 ゆうべに釈放されて自由を想う Copyright 梅昆布茶 2012-03-10 03:51:37
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