古代の器
梅昆布茶
市の図書館は総合文化センターの一階にある
駐車場から入るとホールがあって催し物の案内や地域の特産品の紹介コーナーとかがあり
そこに地元出土品展の案内の女性が立って二階へと入館者を誘っている
ぼくもふと古代ロマンの薫りに引き寄せられて階段をのぼる
この地は太古は武蔵野台地の東端だったようで古代東京湾はついこの先まできていたらしく
遠くは4~5000年の時を遡って縄文や弥生の遺跡が新たな開発の度に土の中から出現して
計画の進度を大いに遅める
そんな土地柄でもある
二階の突き当たりの部屋に入ると市の職員らしき女性がバンフレットと微笑みと
アンケートのお願いと共に待ち受けている
いきなり縄文特有のエネルギーに満ちた5~60cmもありそうな甕が迎えてくれる
隣には古墳時代の須恵器
京都地方で作られた物らしい
さらには1万5千年前
旧石器時代氷河期のナイフ型石器
学芸員らしき若者がしきりに説明してくれるこじんまりとした
しかし確かに僕たちの有限を祈りの言葉で慰めてくれる古代の意志の感じられる空間だ
ひと通りみ終わって図書館に入る
静謐な空気が支配するこの空間で僕は知の遺産たちの息遣いを満喫する
そして時にはただ詩的だというだけで
キメラ・クローン・遺伝子
生命の発生・進化をめぐる研究の歴史
とか
友達の数は何人?
ダンパー数とつながりの進化心理学
などという本を
題名の響きだけで借りてしまうのだ
古代の器や石器が僕を魅了するように
それらは人生の謎を深めせせこましさという呪縛からときはなってくれる
H.G ウエルズのタイムマシ−ンやデロリアン号とまではいかないにしても
存在と時間と生命と宇宙と海と空を想ういのちを満たしてくれる
少なくとも僕にとっては最高の
人生の特効薬だとおもうのである
自由詩
古代の器
Copyright
梅昆布茶
2012-03-10 00:26:35