夜の病院で
梅昆布茶

仄暗い廊下に時々夜の天使のように
夜勤看護師が羽ばたく
世の中で最も偉大で逞しい美しさが
老人達の
人生という点滴を
繋ぎとめにゆく

また鳴るナースコールは誰のための
子守唄なのだろう

天文学的な数のベッドは無限数列の愛で
きっと守られてゆくに違いない

もし僕がオムツやパジャマを替えてもらうなら
優しく辛抱強くちょっぴり初恋の娘ににたひとがいいな
だってさ死にゆくってことはさ
思い出の消去法なのだもの
君はいちばん最後に消したいのさ

そしてきょうも夜の病棟は
初恋の人の名が飛び交って
やさしいナーステイションからはナイトフライトの合図が
響き続ける



自由詩 夜の病院で Copyright 梅昆布茶 2012-03-04 02:13:11
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