人の数だけいろいろあるけど
ただのみきや

人生は手紙
読み進むごとに
春夏秋冬喜怒哀楽
答えは最後のお楽しみ

人生はビリヤード
当たり当たられ飛んで行く
誰が誰を動かして
こいつがどいつに影響されたか
白玉だって分かりはしない
後ろから誰かに押されただけだから

人生は目隠しを解かれた森の中
迷い続けては木漏れ日にうっとりと見とれ
歩き続けては花や小川を見つけ
喜んで歌ったり踊ったり

人生は悪い夢だ
おれは来る日も来る日も待ちわびたよ
夢から覚めるのを
朝でも夜でも構わない
もっと確かな現実が迎えてくれるはずさ

人生は 乗り遅れた電車かな
いつも間に合わなくてね
手が届かなくて
途方に暮れて後ろ姿を見送るんだ

そう 人生は鬼ごっこ
不幸に追われて逃げながら
幸せを追って鬼になる
やっとのことで捕まえた幸せは思いのほか冷たく
あれほど恐れていた不幸が以外に優しかったりもする

人生だって よしてくれそんなもの
おれは人生の首根っこをつかんで跪かせてやったのさ
そしたら人生の野郎 下からおれの足をすくいやがったんだ
えっ どちらが勝ったかって?
あんたの目にはどう見える 見ての通りさ

人生はままならないもの
理解しにくく 受け入れ難く
仲良くなれそうもない 
よくそう思った とくに若いころは

だが最後まで付き合うと
なくてはならないものになる
互いに支え合える
親友になれる

人生はわたしが紡ぐ一篇の詩か
それともわたしを主人公にした
誰かの書いた物語なのか

多くの答えを出してもなお
最後まで謎を残す
明かされない秘密を残して
背表紙が閉じられる

人生はいつか終わるもの
そしてやがて再び開かれる
不思議な書物


自由詩 人の数だけいろいろあるけど Copyright ただのみきや 2012-02-23 00:48:49
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