ひとときの嬉しさ
木原東子

自分の人生を愛おしんで
ここまでつき合ってくれた
セーターの青ミックスの色を
両の腕に抱きしめる

コープのお店に並んでいた
赤ミックスも緑ミックスも
好きだったな
モールのセーター

今日やっとカットしてもらった
おかっぱ頭
白髪の混ざり具合が絶妙だねえ
白いシマウマ

美容院で小さな爪切りサービスとして

小雪が舞う中緑のはこべを抜いた

お隣さんとサッムイネエと話した

おとといは最低な夜だったが
ゆうべはよく眠った

土曜日母に会いに行こうと決心できた
90歳だ

御土産店で食べ物を選んだ
夫の恩師に送る為に

友人が癌の危機を回避

息子たちは意気軒昂

ひとときの嬉しさの詩も書いた
こうして

さあ、夕食はなににしよう
ご飯と納豆、浅漬け、お肉
命を頂く
何も善きことせぬに

ああ、遠くでサイレンが鳴っている
寒空に焼け出される


自由詩 ひとときの嬉しさ Copyright 木原東子 2012-02-20 13:50:48
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