ヨルノテガム






 右耳の膨れ上がる曇り空
 足跡に花、折れて音符
 歩き出し走り出しては 落葉の舞う
 鉄骨の綾取りを鼠は さ迷い
 幽霊の端をかじり駈けゆく

 車輪のにごり絵、渦巻く環状線の
 地下へと地上へと あんた誰?あんた誰?
 窓辺に砂時計が肝臓の働く契機レバーとなり
 オンオフにかかわらず さらさらとソレハソレハ
 さらさらと。積もっては流れ忘れてしまう
 目の前に苦しみのコピーと楽しみのコピーを幻影し
 恐竜の胃袋を満たす犠牲には到底知り及ばない

 ホタルの情緒とLEDの点滅の対決を
 ブラウン管のテレビ、ガチャガチャ回す
 チャンネルで探す、砂嵐。
 放射能ブランドの流行する長いスパンに比べ
 若い人の磨滅する十年二十年が
 目を閉じた一瞬に過ぎ去る
 夢の速度はクリスマスの翌日にひな祭である

 雲の右折する UFOの浮かぶ宇宙人の
 降り積もる宇宙人の、「物質の意志を知れ」と雪の言う、
 毒の通訳するところの、意味から解き放たれたとき
 何を想い、何となるのか。


(悪夢 又は リアルの通訳するところの)

――  『意味』から解き放たれるとき、私は何を思い、

    何者となる、のか。














自由詩Copyright ヨルノテガム 2012-02-18 10:35:58縦
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