ポップ オン ザ ワールド
salco

“ストライク ザ ポーズ”とマイゼルの写真で
世界を席巻したイメージの達人マドンナが
諧謔のモンスター、レディ・ガガを表敬したように
自らの薫陶を受けて来た
よりエッジーな新女王と交代する時、
元女王にはABBAのサンプリングぐらいしか
楽曲が残されていなかったように
かつてホイットニー・ヒューストンに浴びせられた
歌姫の称号をマライアが改め
セリーヌがビヨンセが、アギレラが受け継いだ時、
声の潰れた中年のホイットニーには
ふやけたアダルトコンテンポラリーぐらいしか
似つかわしい場所がない

固太りのアレサ・フランクリンが横綱並の巨体となり
小太りのチャカ・カーンがぶよぶよのオバサンになったように
スレンダーなホイットニーが固太りの腹回りとなった時
さりとて懐かしのオンパレードで大御所づらするには
両人ほどの音域を残していなかった
しゃがれ声はサビのハイノートでことごとくへし折れ
聴衆はそこに失望だけを投影し
フラストレーションに対価を払わされて
有名無実の詐欺を働くスターの
自負の堕落に憤る

うたが変わったカナリアの
生け恥さらしの断頭台
その先は
ダイエットと引換えに声量を失った“ショウ・ストッパー”
ジェニファー・ホリディよりも惨めな末路だったとは
48歳

エイミー・ワインハウス27歳
ジュディ・ガーランド47歳
マリア・カラス53歳
遅かれ早かれ
一世を風靡したディーヴァに
脇役で食いつなぐ道などありはしない

今年のグラミー賞は
6部門をおでぶのアデルがかっさらう
ツケマが無ければイースト入れ過ぎの
パンだねとさして変わらぬ控え目な
二重あごのクイーンオブポップはイギリス産
そのブルージーなハスキーヴォイスは
でもマライアやビヨンセ、アギレラ、ガガと続いた
またジャジーな同朋のエイミーとも違い
ゴスペルやソウルの節回しに毒されておらず
リスナーの耳に新鮮だ


自由詩 ポップ オン ザ ワールド Copyright salco 2012-02-13 23:12:24
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