誕生する
砂木

二十歳の誕生日も近づき
お祝いに赤飯を炊いたというから
おすそ分けを貰いに寄った
買物のついでにお菓子類など買って
ちょっとお祝い気分
日曜日で車庫に車がない
ああ 遊びに行ったのね

弔辞を頼まれちゃってね
えっ 誰の
ほら 幼馴染の子 事故で亡くなったって
ええっ
それで 準備で出かけたの

幼馴染といえば 甥と同じ二十歳
正月休みには帰郷して
一緒に遊んで 仕事場に戻ったと聞いた
それが それが それが なんで?

あまりの展開に呆然とする
その子の事は そんなに知らないけど
小さい頃から甥の口から出る友達の名前に
私の中では 甥とセットの子のように感じでいたのだ
そしてふと 思い出したのは

甥が生まれた二十年前の病院で
無事に生まれたと喜んでいたすぐ近くの病室で
死産だったと 聞いた赤ちゃんが居た事
生まれてすぐ 力尽きた子もいた事
問うも問わないもない
生は死と 決まっていても

尽きない力 それは情け
どうする事でもない
情けという祈りにすがるよりほかない

おすそ分けに貰った赤飯は暖かい
食べて 泣いて 食べる



自由詩 誕生する Copyright 砂木 2012-01-29 19:03:48
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