相談
山中 烏流



どこか、遠い、ある日に作られた柔らかな言語で
その柔らかさよりずっと柔らかく、けれど反響する言葉で
夕立が襲う屋根の下の静寂のように
あるいは待ちわびるスピーカーのざわめき、そのように


その淵で待つ、垂らされた糸の
穿たれたように目覚める光、
焦点を探す視界の先、飛び跳ねては掻き消える歓声
わたしは、わたしの欲しかったものを見た
際限無く飛び交う賛同を掻き分けて
ひとつの、哀れみだけ、
それは指を掠めた一瞬に
凍りついてこびりつくもの。


きみはカーテンを閉じて、口を開いた
一瞬、わたしたちは吐息を交換する
何もかもを持って生まれた私たちは
この部屋の何もかもをも知らない
この距離を渡るよりも早く
きみの言葉は酸化していく、
剥き出しの肌に錆び付いて、
それでもう、二度と取れなくなるのに





 奇数行:山中烏流
 偶数行:ブロッコリーマン





自由詩 相談 Copyright 山中 烏流 2012-01-20 02:11:49
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相談・沈黙