しんだら草
salco

シンダラソウ シンダラソウ
しんだら草が生えて来て
静かに冷たくなるばかり
こわばりそこに在るばかり
まだらに染み出で色変わり
シンダラソウ シンダラソウ
しんだら草が生えたらば
焼き場に行って墓に入る
姿かたちがなくなって
二度と帰って来られない
シンダラソウ シンダラソウ
しんだら草が覆い出す
在所に土足が踏み込んで
いじり回され値踏みされ
取るも捨てるもご勝手に
シンダラソウ シンダラソウ
しんだら草は護らない
蓋が閉じれば底開く
畳んであるかみほじられて
真意は誰にも伝わらない
シンダラソウ シンダラソウ
人の記憶の断片に
一片の索引カードに様変わり
日に日にはやばや薄れ行き
心のどこにも探されない
シンダラソウ シンダラソウ
不在の痛みも消え果てて
もはや元よりおらぬよう
いちじつたりともおらぬよう
しんだら草も消え果てて
シンダラソウ シンダラソウ
しんだら草々しんだら草


自由詩 しんだら草 Copyright salco 2012-01-11 23:50:52
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