そういう人だなって思うだけです
虹村 凌

朝6時、渋谷NHKに向かう井の頭線
1番端の席に腰を下ろす
耳に差し込むオーディオテクニカ
動き出すステンレスの車両
窓の外で点滅する世界
恥ずかしい位に満月が輝く夜明け前
笑って目を閉じる
神泉で目を明ける
巨大なビジョンで見るニュース
北の大根役者達を笑える筈もなく
赤く汚れた星条旗模様の何色だかわかんねぇ日の丸を睨みながら
適当に軽くギラギラした色の薄っぺらい街を通り抜ける
乱反射する恍惚の色とか仮初めの色とかで陰影が凄い街を
煙草を吸いながら繰り返す質問
俺たちって世界を変えられるのかな
コーラを飲み干しながら繰り返す質問
俺たちって愛しあえちゃったりするのかな
だってパンプキンハニーバニーみたいなありもしない未来を喋ったり
産まれる時代を間違えただなんて言いながら笑って
そういうのって別にカッコ良く無いけど楽しかったよね
まぁ別にそれがどうって訳じゃないけど
あぁ愛とか恋とかわかんないけど
あれって間違いなくそういうのの一種だったかもって言ったら笑うか
まぁもう別に今さらそれが何であるかはどうでもいいんだけど
でも世界が変わったら煙草の一本でも付き合ってくれよ
俺が知らないお前の世界を
その口から注ぎ込んで卒倒させてよ
お前が知らない俺の世界を
口移しに愛を
注ぎ込んで卒倒させてやるから
そしたら二人で宇宙船でも見に行こうぜ
コンビニに行くくらいの感覚で
宇宙船でも見に行こうぜ
夜が群青で青空を塗り潰したら
何言ってるかわかんねぇ奴が全員眠りについたら
月が見える丘公園に宇宙船でも見に行こうぜ
夜が太陽を吐き出すまでそうしていようぜ
俺達が見てるのは


自由詩 そういう人だなって思うだけです Copyright 虹村 凌 2012-01-10 11:48:06縦
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