ひかりと水、それが映す町のすべての音
水町綜助

フラットな意識は
この巻いた頭に、ない



カール
巻いた
この毛先の
先に
細くともるみたいな
はるかな、声
きみの声、くるりと
巻いてる

フラットなトイレのドアがひらいて
オレンジの暖かそうなひかりが
暗い部屋の冬を、
布切れ、あの昼にほしたみたいな
そこにひろがる、染みみたいな速さで
じんわり温めるおだやかなひかり、の中で
タンポンを片手で
キスされながら
性器に入れてるきみ
かちり、となにかしら突き出される音を
小耳に挟みながら
目をひらいたまま
キスされてる
それをドアの外から
胡座をかいて真横から
フラットな目線でほおづえついて
見ているおれは
きみの頭を両手でかかえて
くちびるのなかをかき回してる
プラスチックのこの容れ物にも
ちが通ったんだね
茫然とした
目をしてさ
そんなかお、すごくきれいだってしってた?

それからぼく(おれ)はウイスキーして
やっつのラムネと香草、ラプンツェル
あかいの
もう半分以上、のんだね
その半分、うめよう
白いやつで
ならピンクになるかもね
透明さなんていらないし
汚れれば汚れるほど
流れなければ流れないほど
水はきれいに町を映し込んで
交錯するこのすべてを
くるむ
音はしずかに
香りは
世界中の草むらを
踏みしめたみたいな
あの青い香り
ブルーグリーンのあの



ひかりが、強ければ、強いほど


音は波紋

だから

はるかな水と
つまりふたりを

ふるわせて

まよなかのこんな
ひめられた森のなか

この動物のすみかで

ちいさな脳のかたち

わからせて

フラットなものは

なにひとつなくなる

だからこのインドラの矢みたいにふりそそぐ
くりかえしうちつける怒りみたいなすべてのふるえのなかで
きみとずっと、いる
ぼく、
は、ここに
きみと
踊って
いる












自由詩 ひかりと水、それが映す町のすべての音 Copyright 水町綜助 2012-01-03 18:36:16
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