こころねじ
メチターチェリ

往来で拾い集めたこころねじコタツであたため疲れて眠る

枕辺で季節はずれの夏祭り足並み揃う下駄とサンダル

サクサクと雪を軋ませ盆踊り寝巻きのぼくは係り合わない

金魚すくい救われたのは外来種にがす先は猩猩しょうじょうの森

枯木立 若者たちが事の跡 雪の白にも倦まず種播く

タコ焼きよりもイカ焼きが好きイカを串で刺したのではない

保育所で吸血鬼を飼っているトマトジュースで我慢させてる

浴衣着て群れる人波ひといきれ「花火やりたい」言ってみただけ

打ち上げた軌道が反れて耳の中きぬたハジケル失恋の音

「指が好き」褒めるところが他にない三半規管で泣いてみせる

欲望と名づけた夜汽車駆け抜ける窓を見遣れば月とけれんみ

くよくよとよく慾ばる翌朝には夢の数だけ風邪をひいてる


短歌 こころねじ Copyright メチターチェリ 2011-12-30 11:15:55
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