右利き
nonya


少し神経質で几帳面すぎる
右手

無骨だけど何故か憎めない
左手

ろくに箸も持てないくせにと
名前すら満足に書けないくせにと
いつも左手をなじってばかりの
右手

何を語るわけでもなく
ひたすら髪の毛をいじりながら
いつも薄笑いを浮かべている
左手

左手で押さえつけた
ノートの余白に溢れ出す想いを
器用すぎる右手は
つまらない記号に変えてしまう

左手で確かめた
君の頼りなげな肩の感触を
よこしまな右手は
すぐに下心に伝えてしまう

それでも
性懲りもなく
使い勝手の良い右手で
僕はペンを握り締め
相変わらず言葉を煮詰らせている
欠伸を噛み殺した左手で
ゆうゆうと頬杖をついたまま





自由詩 右利き Copyright nonya 2011-12-04 20:47:11
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