連なる独唱
こしごえ




草むしりをする最中
うぐいすが唱える
私は、
この一本に活かされている
むしる事により
今を(ずっと透けているのは闇といっしょ

私は秘密だ
むしって来た千草一本一本に感謝する
山の雲影で。
夕刻の初秋にはもう
蜩の、かなかなかなかなかなかな、という
半透明の歌声は懐かしい旋律
明日を
想う
独りきりの、蝉時雨

一生あえないかも知れない
いつも、そう
瞬間移動は出来ない故に
宙をみつめなおす
この私は悪か、この所のこの私は、善か
複雑に連なる一本の命
失われた気配が漂う

むしられた草の
白い根が黒い土をだいている
日光に見取られながら。
風は今日も、通り過ぎるか、いいえ
晴れた日没直後の西の空の蒼く深く澄んだ
華族の末裔の微笑み
しゃらりん
はいいつかまた
(御存知ですね)え

そよそよと。
色彩豊かな風の色を
いついつまでも
復誦する
















自由詩 連なる独唱 Copyright こしごえ 2011-12-01 06:56:14
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