折紙
nonya


ほんの気紛れだった
マンションの折込みチラシで
折紙しようなんて思ったのは

最寄駅徒歩7分を山折り
南角日当良好を谷折り
指紋の間にかすかに残る
あどけない感触を頼りに
無骨な指をうごめかす

紙風船の折り方を忘れていた

もう一度紙を開いて
人生 山折り 谷折り
折りじわが重なり合い
柔らかくなっていく紙とは
裏腹な僕の眉間には
きっと堅い縦じわが二本
張りついていることだろう

カブトってキンギョに化けるんだっけ?

もう一度紙を開いて
がむしゃらに 山折り 谷折り
やっとの思いで
完成させた折鶴は
なんとなく丸みを帯びていた

航空写真をよれよれの翼に映した
さえない都会派の鶴を
机の角に置いてみる

少し右に傾いた頭が
人を食ったようで癪に障るけれど

可愛い




自由詩 折紙 Copyright nonya 2011-11-30 19:12:26
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