星にかける虹
橘あまね

感覚を駆って
熱と湿度が飛び交って
ふたつの身体を高めていく

星間飛行の鈍色の船体が
故郷の水を恋しがって
恒星の配列をなぞるように
五感が跳ねて
目を閉じているのに
思い出の裏側まで全部が見える

固く結んで へだたりを埋めて
どこまでも満ちる どこまでもゆける
鎮まらない頻度で 息継ぎを惜しんで
ことだまを重ねる
始まりの場所を指すフレア
淀みを吹き払い 迷いを薙ぎ払い

求めあうことの本当の理由を知る
光の分布にあわせて
二つだったものが一つに設計されなおす
確からしさ

分かたれていたことを忘れる
虚空へと鼓動を解放する
新しい生命の広がり
冷却されることのない奔流は
魂と身体との違いを消し去り
虹に八番目の色を加える


自由詩 星にかける虹 Copyright 橘あまね 2011-11-30 17:28:43
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