羽
itukamitaniji
羽
日曜日は嫌いだった 友達に会えないから
あのコに会えないから そんなこどもだった
昨日までの知らん顔が 今日にはもう友達で
明日にはもう親友で そんな無邪気なこどもだった
何処まで行けるか競った あの洞窟の奥には
何があるのか 未だに知らないまま生きている
いつだったか 何てことない答えを知らされて
それで行くのをやめたんだっけ 確かめもしないまま
蓋を開けてみれば 何てことない答えだってね
開ける前から諦めるのに慣れて そうこうしてたら大人だった
あんなに大きく感じてた デパートも壊されて
だだっ広い荒れ地になって そのうち新しいビルが建った
そしていつしか そこにデパートがあったという
記憶すら失くなった それが普通の風景になった
失くなるものと生まれるもの その価値がイコールじゃない
いつの日か気付いて 何かを手離すことが怖くなった
でも知らずに理解できた 誰に教わってもいないのに
感情に名前が付いて ちゃんと感じれるようになった
それが悲しさそれが寂しさ 自分が流した涙の意味とか
大事にしなくちゃ いつもすぐに忘れてしまうから
羽を一枚拾い上げて 綺麗だねって笑っていた
そして惜しみも無く 自分よりそれを必要とする誰かに
差し出せる優しさ 一体どこで教わっただろう
きっとそれを優しさと 名付けるずっと以前の話
いつか知らずに理解できた 誰に教わってもいないのに
目には見えなくなっても 心にたくさん残ること
それが思い出それが記憶 自分を形創るもの
大事にしなくちゃ いつもすぐに忘れてしまうから
自由詩
羽
Copyright
itukamitaniji
2011-11-17 22:18:13