廃線
subaru★

海沿いを走る列車が
波飛沫を浴び
潮風をらってサビまみれだ

通りすがるたびに
このリビングにきしむ音が
クロスに跳ね返ってこだました

生活の一部となった音が
忽然こつぜんと聞こえなくなる

普段と変りないはずの
今日一日が

世界が終わったかのように
とても静寂で冷たくて薄情で

ここが誰一人いない
雪原だと錯覚してしまう

煩わしいと感じた音が
こんなにも愛しかったなんて


自由詩 廃線 Copyright subaru★ 2011-11-10 18:10:05
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