日出づる国
itukamitaniji

日出づる国

太陽が昇るよ だけどその瞬間を僕らはそんなに見ない
当たり前に照らされて 当たり前に生きている


異国からこんにちは 隣の国から来たんだって
それだけで この国ではヒーローになれるんだってさ
まるでパンダみたい 誰もが同じように見えるよ
中身の無い歌ばっかり 揃いも揃って同じ顔

僕が聴きたいのは もっと心が震えるような歌さ
あんなふざけた歌が 世の中を動かしてるなんて
狂ってるぜって 独りで歌ってみたって
僕の歌になんて 誰一人として耳を傾けないのさ


次々に進化し続ける 携帯電話は良いとしても
つぶやくだけで終わる日々 何にも残らないまま
タッチひとつで 何処へだって行った気になってる
君のリアルは 目に見える世界かディスプレイの中か

そのうち携帯電話自体 頭の中に埋め込まれるらしいよ
勉強もいらなくなって 誰もが全員歩くウィキペディア
感情さえ綺麗に整頓されて 嫌な記憶はすぐ消去
そんなクソみたいな 未来がいつか来るらしいよ


太陽が昇るよ だけどその瞬間を僕らはそんなに見ない
おんなじように照らされる 君も僕も誰かさんも


あの日以降の世界で 自分が不幸だとか不運だとか
思えなくなったんだ もう遅いかもしれないけどさ
自分にできることが そんなに無いんだって知った
自然と涙が溢れて 当たり前の笑顔が愛しく感じた

今こそひとつにって 色んな形で叫ばれ続けてるよ
もういい加減しつこいって ひねくれてみても
群がって安心している 本当に思っているからこそ
そうやって生きてゆくよ この日出づる国で


自由詩 日出づる国 Copyright itukamitaniji 2011-10-29 21:15:01
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