simple
たちばなまこと


終末を知らないロマンチストたち
シンプルを形にして
世界を手のひらにのせたがる

枯れない花を得た途端に羽化してゆく
繊細な彼も
前衛的な彼も
シンプルに還ってゆく
彼らをみているとその花たちが
いかに彼らを照らしているのかを知る
プロセス
春を舞い
真夏に溺れ
真夏を拡げ続ける力に溢れ
詩(うた)詠みは驚きを隠せない
感動を詩(うた)にする
今日もよき日

春に居た彼が
恐れを知りながら得た革命は
秋を見ていた
冬になる前に終わりを呼び寄せたかった

永遠の真夏のひまわり
離したくない
逃げたり狂ったりして
やっと得た花の香り
太陽は目をくらませて
世界中を美しく見せる
息が出来ないくらいに願い事
どうか一緒に
どうかどこへでも
春を脱ぎ捨てたからだで
繭を脱ぎ捨てたからだを
周りから
包んで
大切に
育てて
作り上げて

秋が首を吹きさらしてゆく
雪が降りてくる
降りつもる
雪だるまをつくる
大きな手で胴体を
小さな手で頭部を
つなげて
それからあたためる
雪は溶けずになめらかな春の肌になって
遺伝子をくるおしく
産声にまみれさせる

永遠の真夏の花
たったひとつの閃光
シンプル


自由詩 simple Copyright たちばなまこと 2011-10-23 19:28:10
notebook Home 戻る  過去 未来