シオンのあばずれと地獄の犬
salco

祝婚歌

旅は美しい
金のウンコを過ぎた辺りで助走に入り
爆発的加速でトップスピードに乗れば
船尾のエンジン焼けのひどい匂いも後方へ置き去られ
大川の生ぐさも顔打つ風に堤へ跳ね返されて
心は遥かな海へと先回りする
カレはカノジョをジャケットの下にしまい込み
水飛沫から守るフリして
思う存分おっぱい触る
風景見るフリで掌全体をソナーにして
ピンクの小鳥が棲む双丘と
鳩尾から腹、腰にかけての地形と国境線とを
感知しまくる
知悉した新大陸をもどかしく
探査しまくる
鼻を髪に突っ込んで
上向いた地溝帯に子機をグイグイ押しつけて
どんなに欲しいか伝えながら

脱ごーぜ早く
一糸纏わずもっと
あんなことこんなこと
どんなとこでも構うかよ
我慢できねえよもー

育ちのいいあばずれは
それには鳥肌と横隔膜で応えてあげる


とり澄ました雲と競争だ
素敵な高速艇
恩に着るからこのままどこまでも運んで行け
両岸の景色も人の営みも遠くへ押しやって
この川の流れから早く出して
恋するちっちゃなモンゴロイドのお通りだ
空も水も速やかに
2人の行く手を開けるがいい
このスケベな護衛官とメス犬を
太平洋に連れてって
年若きアントニウスとクレオパトラを
絶海の孤島にかくまって
休暇中のタナトスと研修中のエロスに
世界一周の猶予をおくれ
出逢ったばかりのアダムとイヴを
地球外の楽園へと連れ戻せ

2人はそこで子供を1000人作るんだから
灼熱の坩堝から人類の歴史を始めさせるんだから
毎日をセックスに明け暮れて
時間も曜日も
月日も歳月も忘れ果て
腹の底から笑い転げて至福の生涯を送るんだから

現よ2人に唱和せよ
このささやかな幸せに賛同し
お伽話の鍵束を恋人達に投げ返せ
旅よ終るな
時間よ止まれ


自由詩 シオンのあばずれと地獄の犬 Copyright salco 2011-10-15 23:55:14縦
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