オリ非ナル
たもつ

 
 
歩いていた犬が棒に当たったころ
風が吹いて桶屋は儲かっていた 
僕は爪に火をともしながら 
石の上で三年間 
糠に釘を打ち続けたのだった 

壁には耳があった 
障子には目があった
けれど死んだ人には口がなかった
類が友を呼んで
飛ぶ鳥はすべて落とされてしまった

秋ナスを食べさせてもらえなかった君が
石橋を叩いて渡っている 
その下の川を河童が流れていく 
長いものに巻かれたまま
どこまでも 
いつまでも

 


自由詩 オリ非ナル Copyright たもつ 2011-10-14 20:05:46縦
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