光から
たちばなまこと


私、光なんですって。
文字が書かれたチノパンに、光がそそぎ
海の向こう側の浮島が、深く染まる
写真。
私、少し泣いてしまったのです。
悲しみの遺伝子
控えめな微笑み
フレームの外がわに、見えていました。

失って、歩いてきました。
自分で自分を守るために
ここまで、と張った皮膜がありました。
親切な人がやって来て
何度も何度もメスを入れて、くる。
内側だけはどうしても、切れなくて
振り上げられたそちら側の刃が
瞼を切りました。

誰もいない日に
人差し指で、皮膜に透けた刀すじをなぞりました。
私、怖かったのです。

ダンス。
はじめまして。
信者の顔をした人。
甘さばかり携えて、困らせる人。
知らなかったのです。
葛藤を、傷を、旅の理由を。
許してもらえますか、尊敬する人たち。
そして青いさなぎ。

私、滑稽です。
でも、それは素敵な手紙になると思います。
親愛なるあなたたちは、読んでいるのでしょうね。
数々の矢を打ち込まれても
やさしいまなざしだけを、拾いたいのです。
これからがあるならば、
これからも。




自由詩 光から Copyright たちばなまこと 2011-10-04 20:15:16
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