彼岸花
未有花

友達と遊んで別れてひとりきり
空はとっぷりと日が暮れて
すっかり遅くなった帰り道

お家に帰りたくないよう
きっとお継母かあさんに叱られる
きっとお継母かあさんは怒ってる

重たい足取り引き摺って
うつむいて歩く畦の道
彼岸花が燃えてるように
ずっとお家の方まで続いてた

燃えろ
燃えろ
全部燃えてしまえばいいんだ

空を真っ赤に焦がして
炎のような彼岸花

少女は彼岸花を手折ると
急ぎ足で道を進む

これでお家に火をつけよう
そうすればきっと
継母かあさんに叱られなくて済む
継母かあさんに怒られなくて済む

彼岸花
炎のような彼岸花

燃えて
燃えて
全部燃やしてしまっておくれ

炎が消えてしまわないように
彼岸花をしっかり握って
少女は道を急ぐ

少女の進む道は
きっと地獄へと続く道

道に咲いているのは地獄花
彼岸にいざな
赤い炎

空を焦がして


自由詩 彼岸花 Copyright 未有花 2011-10-03 09:42:28縦
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