試み
たちばなまこと

昼夜繰り返される試み
この街が雨で埋め尽くされる頃
呼吸を許されたとき
空っぽの胃
歌う

泣きたい、と
ひっそりのたうつ
こんなにも女(の子)だったかと
雨粒に色を閉じ込める作業




ああ、ぼくは
あなたを抱きしめたくて
すはだのゆめを並べる
あなたの毒は秋のかぜ
むくちなふたりが
街の喧騒をながれてゆく
ぼくは予感を指揮する
毒を解かれることにおびえているあなたへ




ねえ、きみが
いつわりを燃やしたのだとしても
その葬列に並べなかった
きみがあやまちと呼ぶつながりに
吐き気がして仕方がない




小さな和菓子屋の前
おじいさんがアスファルトを眺めている
羊羹をかじりたい、な と
ひとりごとを落とす
砂へとほぐれ
螺旋を描き
舞い上がる


自由詩 試み Copyright たちばなまこと 2011-09-24 11:27:07
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