雨の格子
テシノ

振り向けば銀鼠
雨の格子に閉じ込められた独りよがり
メリーゴーランドから逃げ出した木馬の
回転しか知らない走り
雨の日のベランダで
列になって群れないパレード

眠らせてハモンドオルガン
カタカタ鳴らすブーツシャフト
薔薇色と嘯いて
ゆっくり明日へと見送る光

人々のスピードを嘲笑うカラスの急降下
くちばしで切り裂いて作る道に
かぁと一声残したら
あとから雨が追う

手をそわせるものを探す
寄りそうまででなくていいから
手の中に温度を探す
温もりほどでなくていいから
空に向けた手の平で
小さな魚を飼っている
雨を伝って逃げないように
人差し指に見張らせて

振り向けば銀鼠
次第に細くなる雨の格子に阻まれて
まだ間に合う  と見送る背中


自由詩 雨の格子 Copyright テシノ 2011-09-08 21:50:46
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