君という名の旗
itukamitaniji

君という名の旗

おんなじさ今日が始まっても またかって思うだけで
特別な事は何もない 本質的にはそうなのだ
あっと言う間に未来は今に 今は過去へと変わってゆく
始まりも無ければ 終わりも無い旅を今静かに振り返る

いつかの古い傷を撫でて 悲しいフリをしてみた
だけどそれほど 悲しくならないことに気付いた
それは僕が強くなったのか それとも冷たくなったのか
僕が僕じゃなくなってゆくみたいで 怖かったんだ

自分が自分じゃないなんて そんなことあるはずないのに

何も忘れたくなんかないよって ぽろぽろと零す心に
何度も旗を突き刺した 記憶を標本みたいに打ち付けて
血まみれになってく心に 何度も何度も突き刺した
その痛みだけが 記憶なんだって思ってたんだ



生きる理由なんてものは 何処かで落っことしてしまった
それって死ねばいいのにって 宣告されたってことなのかな
そう誰かが呟いた いやそれはきっと違うと思うよ
理由が無くなっても止まらない 人生と言う名の旅は続くんだ

その旅の果てに 何が見つかるのか分からないけど

世界に忘れられたくないよ 僕はここに居るよって
何度も旗を突き刺した 存在を誰かに見せつけるみたいに
固い地面を打ち砕くように 何度も何度も突き刺した
何だか泣きたくなった 空高く掲げた旗を揺らす風は


あの頃の君が巻き起こした風だ
いつか愛したあの人の髪を揺らした風だ
君がいつか辿り着く未来から吹く風だ

そして今の君を繋ぎ合わせて 共にはためく君の旗


自由詩 君という名の旗 Copyright itukamitaniji 2011-09-06 19:40:14
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