ふりつもるものに
たりぽん(大理 奔)

雨や雪やもしくは火山灰
降り積もるものに閉ざされるとき
あおぞらに解き放たれた高層雲が眩しいとき
それら、数え切れない
ゆえに無限に近いものを見上げるとき
からだは静かな楽器になるのです
鼓動の数を数えはしないように
星の数を詠んだりしないように
手に触れることの出来る命しか知らないので
ひとりぼっちで生まれてきたことを
時々かなしんだりします
どんなに皮膚の外側で
明日について楽譜がかかれても
生温かな液体に満たされて
静かな楽器は身勝手に音を奏でます
聞こえますか、灯台の先で砕ける声が
行く先を示そうとするものに打ち付ける
でたらめなうた
それが昨夜のわたしです
秋波を乗り越えながら
舟がどこまでも
どこまでへもたどり着きますようにと
降り積もるものに
解き放つものに
冷たく包み込むその指先に
ただ想う、あなたに
やさしい夜がおとずれていますように
それであればこのまま
わたしは、数え切れないものに
閉ざされたままでも
それはそれでしあわせなのです



自由詩 ふりつもるものに Copyright たりぽん(大理 奔) 2011-09-06 00:37:37縦
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