花キリン

    
ナイフとフォークで
白い雲を少し切り刻むと
青い空がするりと落ちてきた
傍らに小奇麗な色で衣替えした
収穫の時間を置くと
秋の形が出来上がった

味覚を一つずつ競うように
採りたての果物の香りが並べられ
長いストローは景色の外へと伸びていく
熟れたものの多くは
土に帰る準備を急いでいるから
ふと寂しいと感じたりする

横たわるスペースに
読書などを持ち込んで
ページの数枚を思考の壁に貼り付けて
集落を置いてみたりする
寂しいと感じる理由の先には
季節の遷移があるのかも知れない

まもなく色づくものは
どんな味を隠し持っているのか
風などが吹いてきて
ひんやりと孤独を演じ始める
秋の形とは変容の中で
少しずつ研ぎ澄まされていくものなのだろう



自由詩Copyright 花キリン 2011-08-18 06:23:29
notebook Home 戻る