ヤドリギのひと
恋月 ぴの

何かの工場でも移転したのか
住宅街の真ん中にあられた大きな空き地
その空き地を取り囲むようにはためく斎場反対の白抜き文字

いつまで運動は繰りひろげられていくのだろう

はちまちをした町会の面々
遅かれ早かれ斎場が必要となる歳になっているはずで

よそ者だから許せないってこともある




Tomodachiであったとしても
用が済めば早々にお引き取り願いたい
感謝をこめた挨拶はやっかい払いってこともある

家族ができて
生活環境が変わってくれば

次第次第と都合の悪いこと煩わしさはひとしおで

もっともお金が総てってこともありそうな




ときには実の母でさえ鬱陶しくて

どらえもんのポケット
ひとの本音かも知れない




わたしの思いを知ってか知らずか
いっこうに責任を取ろうとしないあなた

どこまでが本当なのか
どこからが嘘なのか

悔しさに達するでもなく萎えたペニスをきつく掴む




その空き地の近くには親水公園がある
釣りもできるようになっていて
近くのお年寄りだろうか日がな釣糸を垂れている
白鳥の脚に仕掛けが絡まないだろうかとか
そんな心配など飲み込むかのように黒い雲湧き立ち

パラパラと大粒の雨降りだした






自由詩 ヤドリギのひと Copyright 恋月 ぴの 2011-08-08 18:34:15縦
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