ヤモリ
itukamitaniji

ヤモリ

ここはとても狭くて 何処かに隙間を探している
大事な記憶ごと 鎖に繋がれてしまっている
暗い夜が続いていて 僕を閉じ込めようとして
何故か知らないけど 抜け出せなくなっていた

張り付いたガラスから 離れられなくなっていた
見慣れた瞳と にらみ合って動けなくなって
本当の僕がいるのは こっち側かそれとも向こう側か
そんなことを考えて 夏の夜に震えてた


世界に隙間なんて無くて 何処までも埋め尽くされてた


誰にも見つからないように 生きてきたんだ
それは逆に 誰かに見つけて欲しかったってこと?
簡単に何処へでも 消えてしまえるって知って
体中から毒が 一気に消えてゆくのを感じた

ずっと大事にしてたもの だけど今じゃもう
どうしてそんなに大事だったか 忘れてしまった
記憶ごとちぎって 誰かや何かのせいにしないって
何度も唱えた もう何処へだって行けるよ


自由詩 ヤモリ Copyright itukamitaniji 2011-08-01 13:24:07
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