確信のひと
恋月 ぴの

いたずらな風にでも煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがった
 



男のひとは女性の下着に恋するものらしい

くしゃっとした
小さな布切れなのにね

でもそれは男のひとが求めてやまぬ快楽への入り口

お尻のほうからつるり桃の皮でも剥くように
そっと腰を浮かせてあげるのはお約束で

差し出された果実には
例えようの無い甘酸っぱさと

捕らわれてしまっては二度と逃れえぬ巧妙な罠が仕組まれている




でもなんだろうね

見るだけなら罠にはかからないものさとばかりに
入り口の前で立ち止まってさ

あれこれと小さな布切れを品定め

あれはピンクだ
いやレースの白だったと評論家気取りは喧しい

見せる方も悪いって誰かが言ってたような

女性の私からみてもどうなんだろうって感じの短さは
おいでおいでを繰り返してもいるようで




いたずらな風に煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがって

そして何ごともなかったかのように


食虫植物の秘肉は閉じる









自由詩 確信のひと Copyright 恋月 ぴの 2011-07-18 18:59:59縦
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