かけがえのない時間
あおば

             110704


時間はいつでもその時独自の意味を放ち、代わりなどあろうはずもないのだけど37年ぶりに「電力使用制限令」が発動され、15パーセント節電しないと罰金を取られるから、それは困る。7月1日からは木金を休みにして土日に操業することにした。上からの命令で、土日の休みが無くなって、代わりに木金がお休みとなり、なんだか気分が落ち着かない。今朝も学校に通う男の子達はいつもの顔をしているが、土日はどんな顔をしているのだろう。一人遊びが出来なくて、とらえどころのない時間をもてあまし、ぽつねんとケームに熱中するしかないのが目に見えるから、私設の学童保育所を探す必要もありそうな気もするが、代休割増金などもらえないから、学童保育の費用が出ない。虎の子の貯金を下ろししばらくはそれでしのぐか、それとも生命保険を解約するか。かけがえのないはずの時間があっさりと等価交換されて、すっきりした顔の電流が早朝の架線をスイスイと流れていくのが君に見えるか、そんなことを呟く男の周りにもどんどん熱気が押し寄せてきて、もうしばらくすると耐えきれなくなりそうだ。





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作の誤字脱字を修正、タイトルは、るるりらさん



自由詩 かけがえのない時間 Copyright あおば 2011-07-04 15:33:15
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