祭り囃子
あおば

              110626




首が回らない
それは緊張し過ぎたためでしょう
お金がないのはそれだけ厳しいことですから
500円不足の苦情処理途中に
1万円札を崩してくださいと
話しかけるのは間違いの元
虎の子を渡したのに
払ったの払わなかったのと
当然の権利を疑われたりしますから
1000円札をいつも用意しておきたいものですと
声には出さずに
タクシー乗務員はGPSをリセットする
はい、着きました、710円です
ありがとうと一声掛けて下車したところ
目的地は目の前で
楽をして
歩かないから
昼食代もなくなった
それに気がついたのは5分後だったのに
500円が不足したりして
恥をかいたり疑われたりするのは2時間後だと予測不能のことだったと
予測不明をさらけ出す
自分のためにお金を使ってなにが悪いと
誰かにいいたい気持ちを抑えて
深夜のバス停の時刻表を携帯に写し込む
我慢したときとしないときの味覚の相違についての論文は
査読委員の逆鱗に触れたのか
掲載不可との返事があった
返事があっただけありがたいと思いなさいと消息通
恩着せがましく耳を嚼むように囁いた
ぼんやりして愁嘆場を見逃したけど
それはそれ
今日からは
祭り囃子も聞こえる季節が来たから
30分だけ歩いて行こう
クールビスに身を包み
少年少女の姿になって
てんでんばらばら
足音軽く
身体中が解れていくね





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、ひかり。さん



自由詩 祭り囃子 Copyright あおば 2011-06-26 02:25:10
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