真夜中の遊戯
高梁サトル


ベッドの下に散らばった
投げっ放しの言葉たちが輝き始める
午前2時
灰褐色の虹彩の奥の
中心窩に囚われた屈折した光が
ざわめき始める
それが尽きてしまわぬようにと
シーツから細い手を伸ばし
隠していた金平糖を撒き餌する
床で弾かれた音が
皮膚の断層の間でまた点るくすぐったさに
堪らなく枕を抱き締めて
横目で天地のない砂時計を眺める
終わることがない
たった独りの遊戯の時間
ラブもセックスもアルコールもドラッグもない
たったひとつの陶酔の方法
けれど誰もが言う
早くおやすみなさい明日がきてしまう前にと
太陽と共に目覚めて月と共に眠る
それが我々の大昔から決まった理
あたしはそれを眠ったフリをしてやり過ごす
暗闇には怖ろしいものが影を潜めていると言う
彼らを裏切って
波打つふくらみの上で両の手を組む
黄金色した金平糖を舌で転がしながら
唇から漏れる溜息の隙間に
またたいている
星はここにあると


自由詩 真夜中の遊戯 Copyright 高梁サトル 2011-06-25 21:29:18
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