鴉の眼に宿る一閃の煌きが人々にとっては畏怖でしかなくとも
夕暮れに戻った巣の中では献身的な愛を育む母鳥であるかもしれない
そう言ったおまえのイメージからははっきりと
精巧な素描の上に幾重にも塗り重ねられた油彩の匂いがした
わたしは、想う
おまえがおまえの人生を費やして
惜しくないほど価値のあるものとは何かを
その熱病の行方を
わたしは、思う
わたしがわたしの人生を費やして
惜しくないほどの価値が
この現実の何処に在るのかということを
この冷血の行方を
沈黙することで愛する誰かを傷付けようとも
懺悔などするものかときつく唇を噛んで
雨に濡れた世界を見ていた
薄い窓ガラス一枚隔て
景色になるのだよ
額縁に飾られ見ず知らずの者に愛でられたいすべては
そうすることでもうひとつの生を授かる
何かを描き続けていると信じている
その高潮した頬を美しいと感じる季節もとうに過ぎてしまったと
正直に打ち明けているものを
いつまでたっても理解しようとしないおまえが
筆を落とす日がきてもわたしは微笑むことしかできない
懺悔などするものかと呟き
ふたたび別の熱病の行方を追うだけなのだ
その為だったらわたしは
僕でも俺でもあたしでもママでも娘でもいもうとでも鳥でも蝶でも花でも星でも悪魔でも聖母でも娼婦でも犯罪者でも指導者でも道化師でも
入る器ならなんだっていいのだ
父と詩人を除けば