ginger
たちばなまこと

沸点で淹れた紅茶に
蜂蜜と
生姜の絞り汁
握り拳よ
芯部に響け

きみたちが求める女に
雄々しさはあるのかい
絞め殺したくなるような可憐さ
汚したくなるような透明感
ほんとうは
きみたちにこそ在る女

彼女の友だちが誇らしげに言う
雄々しいから女が好きよ
雄々しいあなたが好きよ
と言う
ように
遠くで
生き物を知った男の子が
大きくなって
好きな女の話をする
ように
生きることを知ることは
泥臭いが
鍋の根菜がたてる匂いにも似た
たくましさがある

還るところは 母と呼ばれるが
父が不在なわけではない
ように
幾とせ経っても
きみたちの不在にこころを斬られ
きみたちの前で
肌を磨き
からだをつくり
飾り
声を塗り
外で
内で
もがいてみせる

その刻印に生姜を擦り込む
強さよ
芯部を灯せ


自由詩 ginger Copyright たちばなまこと 2011-05-17 10:37:24
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