発芽の後で 或いは前で

無意味の中で
意味を求めて言葉を書き連ねる男

技巧は太陽の熱にやられてくたばった
ユーモアは強い風に軽々と吹き飛ばされた
そして想いは雨に溶けながら尚も成長を続けている

ペンが走る前から息を荒くしている側で
ノートはその白さを誇るでもなく寂しがるでもなく
ただじっと時を待っている


生み出される卵の数と
生まれてくる命の数は違う
そんな思い込みが卵の数を減らしていると
遠くの砂浜で海亀が嘆く
その歌声が耳に届いた気がして
男はそれに見合う言葉を探すけれど
彼は不運にも海を知らなかった

膨れ上がった無意味の中で
今日も生まれてくる命を数え
男はゆっくりと眠りに就く


雨は降る
全てが成長し
全てが枯れて無くなるまで
雨は降り続ける



自由詩 発芽の後で 或いは前で Copyright  2011-05-10 10:40:52
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